最終更新日 2021年7月31日 by タイランドピックス編集局
タイ王国は典型的な華人経済であり、あらゆる産業が財閥企業によって支配されていることはご存知でしょうか?
1990年以降、東南アジアの華僑系企業の多くが、祖業で得た利益を積極的に再投資に回し、事業を積極的に多角化させ有数のコングロマリットグループへと成長しました。現在では、中華資本の伝統的財閥グループ、タイ資本の新興財閥グループ、そして王室系財閥グループが強力かつ広範囲な流通販売網を構築しており、その支配力は年々大きくなっています。
今日、タイ経済は財閥企業無しには語れないほど絶大なる影響力を持っています。
1. サイアム・セメントグループ
最古最大のメーカーであり、タイの製造業の歴史そのもの
サイアム・セメントグループ(英:Siam Cement Group)は1913年に国王ラーマ6世の命によって設立された、セメント事業を主軸とするタイ王室系の財閥企業です。元来、タイ王室
- 創業者:ワチラーウット国王(ラーマ6世)
- 基幹事業:セメント建材・製紙包装資材・石油化学
- 主要子会社:SCGパッケージング・SCGケミカルズ・SCGセメント-ビルディング・マテリアルズ
- 売上高:1,5兆円(2019)
2. セントラルグループ
タイ国内の商業不動産開発No1
セントラルグループ(英:Central Group)とは、1947年創業の大型小売店舗・商業地開発事業を中核とした華僑資本の小売系財閥です。商業不動産、外食チェーン、ホテル、専門店、高級品の5分野で事業展開するコングロマリット企業です。積極的な小売多角化を経て、現在は百貨店「セントラル」「ロビンソン」、スーパーマーケット「トップス」「ビッグC」、ホテル「センタラ」などを展開しており、小売業界では競合のザ・モールグループを抑えて首位です。
- 創業者:鄭心平
- 基幹事業:商業不動産・外食チェーン・小売専門店
- 主要子会社:セントラルパタナ・セントラルリテール・セントラルレストラン・センタラホテル
- 売上高:1,3兆円(2016)
3. ザ・モールグループ
タイ最大のデパート・ショッピングセンター運営会社
モールグループ(英:Mall Group)は1981年創業のタイ最大のデパート・ショッピングセンター運営会社の1つです。商業不動産分野ではセントラル・グループに次ぐ業界2位。「The Mall」「Emporium」「Siam Paragon」「Power Mall」「Gourmet Market」「The Mall SkyPORT」「EmQuartier」「SportsMall」「BeTrend」および「BLÚPORT」のブランドポートフォリオを展開し、ショッピングセンターを主軸に都市開発を行っています。バンナー交差点付近に建設中の「Bangkok Mall」は東南アジア最大誇ります。
- 創業者:スパチャイ・アンプット
- 基幹事業:商業不動産
- 主要店舗:エンポリウム・エムクオーティエ・サイアムパラゴン
- 売上高:750億円(2018)
4. TCPグループ(レッドブル)
栄養ドリンク「クラティンデーン」1本で巨万の富を築いたレッドブル創業家
TCPグループ(英:T.C. Pharmaceutical)は1956年創業のエナジードリンク「レッドブル」の製造販売をを中核とする飲料系企業です。TCPはレッドブルなどの飲料事業、マーケティング事業、自動販売機事業、ロジスティクス事業など5社を持ち株会社に統合し、現在同社は現在5つの食品飲料カテゴリーで8つのブランドを展開しています。「レッドブル」と「グラティン・デーン」の2製品で世界第5位のタイのエナジードリンク市場の50%を占めています。
- 創業者:許書標
- 基幹事業:飲料
- 主要子会社:TC Pharma・TG Vending・Durbell・HI-GEAR
- 売上高:1,000億円(2019)
5. CPグループ
農業・食料品分野を支配するタイ最大のコングロマリット
CPグループ(英: Charoen Pokphnad)は1921年創業のチャロン・ポカパンの頭文字を冠する架橋資本の大手財閥です。農業、食料品を中核事業に、通信、不動産など8分野で事業展開しています。世界20ヶ国に関連企業400社、グループ総売上約7兆円、従業員約40万人を擁するタイ最大民間企業です。グループ売上高の40%を中国事業が占めており、正大集団として現地最大の外資系企業として知られています。伊藤忠商事との関係が深く実質的な筆頭株主です。
- 創業者:謝易初
- 基幹事業:農業食品・近代小売・情報通信
- 主要子会社:CPフード・CPオール・CPランド・True・正大集団
- 売上高:7兆円(2019)
6. TCCグループ(タイビバレッジ)
タイを代表するビール「チャーン」の裏に隠れたタイ全土の土地1%を保有する不動産王
TCCグループ(英:Thai Charoen Corporation)は1960年創業のタイビバレッジを中核とする架橋資本の新興財閥です。飲料系、不動産系、小売・卸系、保険・金融系、農業の5分野をメインにコングロマリット展開しています。中核企業のタイビバレッジは、 緑に象マークのビール「チャーンビール」を製造販売を行うアルコール飲料メーカーで、競合のシンハーグループの「レオ」と市場シェア首位を争います。また、傘下の不動産会社会社TCランドやAWCを通じて「ル・メリディアン バンコク」「ヒルトンスクンビット」「バンヤンツリーサムイ」などの高級ホテルや「アジアンティーク」「ゲートウェイ」など商業施設を運営しています。
- 創業者:蘇旭明
- 基幹事業:飲料・不動産・小売
- 主要子会社:タイビバレッジ・AWC・TCCランド・オイシ・バーリユッカー・F&N
- 売上高:N兆円
7. キングパワーグループ
観光大国タイの空港免税店の運営権を独占
キングパワー・グループ(英: King Power International Group)は1989年創業の免税店を展開するタイ資本の財閥企業です。観光大国タイの空港免税店事業の市場規模は約2,300億円と推定されますが、同社は長きに渡って1社独占しています。また、タイの主要空港および大都市でのデューティーフリーショップに加えて、英国プレミアム1部のレスターシティFC、バンコクのプルマンキングタワーホテルや最高層商業施設マハナコンタワーなどを運営しています。
- 創業者:ヴィチャイ・スリヴァッダナプラバ
- 基幹事業:免税店
- 主要子会社:キングパワーデューティーフリー・レスターシティFC
- 売上高:6,200億円(2019)
8. ブンロード・ブリュワリーグループ(シンハー)
タイを代表するビール「シンハー」「レオ」を生産する醸造会社大手
ブーンロート・ブリュワリーグループ(英:Boon Rawd Brewery)とは、創業から87年の歴史を持つ架橋資本の酒造系財閥です。50社以上の子会社を所有し、「シンハービール」「レオ」を擁するビール事業をメインとしながらも、食品・清涼飲料水、不動産開発、アパレル、飲食店、音楽などコングロマリットに事業展開しています。
- 創業者:プラヤ・ビロンバグディー
- 基幹事業:免税店
- 主要子会社:シンハーコーポレーション・シンハーエステート・シンハーライフ
- 売上高:非公開
9. サハグループ
即席麺「ママー」で有名な消費財業界のキング
サハグループ(英:Saha Group)は1916年創業のタイ最大の消費財メーカー「サハ・パタナ・インターホールディングス」を主軸とするタイ資本の小売・消費財系の財閥企業です。グループ企業約200社、社員数10万人を超えるコングロマリット。中核企業のタイプレジデントフーズは最大の即席麺メーカーであり、主力製品「ママー」は市場規模500億円の内50%のシェアを占め、国民食として定着しています。
- 創業者:李興添(華僑2世)
- 基幹事業:消費財・小売
- 主要子会社:サハパタナインターホールディングス・タイプレジデントフーズ・サハパタナピブン・ICCインターナショナル
- 売上高:1兆500億円(2018)
10. バンコク・ドゥシットメディカル・サービス(BDMS)
世界有数の私立病院チェーン運営会社
バンコク・ドゥシットメディカル・サービシーズ(英:Bangkok Dusit Medical Services)は1969年創業の民間病院チェーンを運営するタイ資本の医療系財閥です。株式会社病院としては世界TOP5の時価総額を誇ります。「バンコク病院グループ」「サミティヴェート病院グループ」「BNH病院」「パヤタイ病院グループ」「パオロ記念病院」「ロイヤル病院」など、6つの主要病院グループを運営しています。富裕層と外国人をターゲットにした有名高級病院はタイ在住外国人医療の受け皿としては勿論、タイのメディカルツーリズムを牽引します。
- 創業者:プラサートトーンオーソト
- 基幹事業:病院
- 主要子会社:バンコク病院・サミティベート病院・BNH病院・パヤタイ病院など
- 売上高:2,400億円(2020)
タイランドピックス
コンサルティングチーム