最終更新日 2021年7月7日 by タイランドピックス編集局
タイ王国などの海外移住・就職にあたって大きな問題点の一つが社会保障だと言われています。
日本の本社から派遣された駐在員を除く、現地採用、ノマドワーカー、自営業、ロングステイヤー、年金暮らしなどのステータスの場合、国民年金や健康保険についてメリット・デメリットを理解して、自ら手続きを行う必要があります。
一般的に、1年以上日本を離れる場合は「海外転出届」を提出し住民票は除票する人が多いです。こうしておくと、翌年からの住民税、国民年金、国民健康保険の支払い義務がなくなります。
国民年金とは
国民年金は、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の全ての方が加入する年金制度です。加入者は職業などにより3つの種別に分けられています。
- (1)第1号被保険者:自営業・自由業・農林漁業・学生・無職の方などで20歳以上60歳未満の方(第2号,第3号被保険者以外の方)
- (2)第2号被保険者:厚生年金や共済年金に加入している会社員や公務員など。
- (3)第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
この制度は,農業者や自営業者,民間企業を退職した方等が加入するもので,各市町村がその市町村に住所を有する方(健康保険組合等に加入する方を除く)を加入対象として運営しています。
国民年金の海外転出
通常、海外移住となったらまず役所に行って、住民票を日本国内から国外に移す手続きをします。こうすることで非居住者(国外在住者)となり、住民税や国民年金の支払い義務がなくなります。
国民年金の任意加入(継続)
将来的に日本に帰ってくる予定の方は、任意加入で保険料を支払い続けることができるので、財政的に許されるなら、任意加入しておく方がいいかもしれません。
海外に住んでいる20歳から65歳未満の日本人は、希望によって国民年金に任意加入することができ、保険料を納めることで、第1号被保険者となることができます。日本を出る前に、自動で引き落としの手続きを取っておくか、あるいは家族に頼むなどすればいいでしょう。海外在住時に任意加入したうえで保険料を納めれば,死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。
国民健康保険とは
国民健康保険は、自営業者、農業者、会社を退職した人、無職者などを対象とした公的医療保険です。原則として市区町村が保険者となり運営を行います。国民健康保険加入者は海外に短期渡航した際の「海外療養費支給制度」があり、海外でケガや病気の治療にかかった費用を後で補填できます。
国民健康保険の脱退
海外転出届を提出して住民登録を抹消すると国民健康保険を脱退します。再度加入するには、日本に帰国後、住民登録を復活させる必要があります。しかし、海外移住している高齢者の中には、日本の住民票を抜かず、医療措置が必要な際はその都度帰国する方が多いです。
国民健康保険の任意加入(継続)
住民登録を抜いた場合でも、健康保険の支払いは任意で継続可能です。「海外療養費支給制度」を使って海外での治療費を日本帰国後に申請することで還付を受けることが出来ます。但し、実費費用ではなく、日本で同等の治療を行った場合の治療費分の7割程度の返金となります。
海外移住の際の国民年金や国民健康保険の手続きをどうするか?のメリット・デメリットは一概には言えず、ケースバイケースです。住民票を抜くと年金や保険に連動して非加入になるので、手続きのタイミングはしっかり検討しましょう。