最終更新日 2022年3月20日 by タイランドピックス編集局
タイ移住を失敗に終らせない為には、デメリットについてもしっかりと理解しておく必要があります。また、移住目的やステータスに応じた正確な情報を予め収集する事が重要。タイがどんなに住み易いと言っても、日本とは異なる環境です。
全てを日本と比べてしまってはストレスが溜まってしまいます。日本と比べて良いところにフォーカスして、悪いところはあまり気にしないというぐらいの気持ちで生活することが移住を成功させる秘訣でしょう。
今回はタイ移住のネイティブな欠点について、生活、医療、教育、仕事、税制などの観点でご紹介します。
気候・災害・環境汚染
雨季の冠水被害がひどい
雨季のタイ生活は路面冠水に悩まされます。普段は高級でモダンな商業エリアでも、排水環境の悪く、未だ冠水が起こりやすくなっています。 特に冠水がひどいエリアでは、あっという間に膝下くらいまで水が溢れ、道路は一面川のような状態に陥ります。バンコクの日本人居住区として知られるスクンビットエリアでは、通常時は都会的で舗装されたように見える場所でも大雨が降ると膝まで冠水する通りも少なくありません。これは元々海抜が低い立地にコンドミニアムや大規模商業施設などの不動産開発による地盤沈下であり、冠水の状況は年々深刻化しています。
深刻な大気汚染
タイでは近年大気汚染(PM2.5数値)が深刻化しており、特に11月~5月頃まで続く乾季は雨が降らず空気がよどむため、大気汚染が発生します。これはドス黒い排ガスを出す車両や公共バス、そして違法に有毒物質などを排出している工場などが原因です。首都バンコクでは無数の建設現場から出る粉塵が、北部チェンマイでは野焼きと森林火災が大気汚染を悪化させているもう一つの原因となっています。
政治が不安定
度重なる軍事クーデター
”微笑みの国”のイメージとは一転、タイの政治は不安定です。タイの近現代史を振り返ると、1932年の立憲革命以降、19回もの軍事クーデターが発生し、バンコクでが若者を中心とする反体制デモ隊が”真の民主主義”を求めて頻繁に抗議運動を行なっています。現在のプラユット政権は、2014年のクーデターで実権を握った軍を母体とし、2019年に選挙が実施されたが、長年タイ政治の中心にあった保守政党の民主党とタイの誇り党との連立政権のもと、軍・官僚・ビジネスが固く結びついた開発独裁体制が成立しています。
王室権威の揺らぎと反政府民主化デモ
タイでは憲法で国王は神聖不可侵と定められおり、刑法に王室への侮辱や批判を禁じる不敬罪が存在します。いまでも不敬罪がある国は少なくないが、タイのそれは特に厳しく、2015年には当時のプミポン国王(ラーマ9世)の飼い犬をSNSで揶揄した男性に37年の禁固刑が科されています。
冷戦時代からタイでは政党間の衝突やクーデタなど政治危機が発生する度に当時のプミポン国王の働きかけによって事態の収拾されるなど、王室は政治勢力を超越した存在だからこそ、敬愛も信頼もされてきました。しかし、現在は閉塞感をもたらす今の体制やシステムの象徴だとも言われており、若者を中心に不敬罪の廃止、王室関連予算の削減など”王室改革”が叫ばれています。
また、プラユット首相のコロナ対策失政を批判して、辞任を求める反体制派のデモが頻発しており、警官隊が催涙ガスやゴム弾を使用して強制排除するなど激しさを増しています。デモ隊は国防費や王室予算を削減し、コロナ対策に充てるよう要求しています。
物価・
首都バンコクの生活物価は上昇中
東南アジア諸国への移住というと、年金暮らしでも日本以上に豊かな生活を送ることが出来ると想像しがちです。しかし、円安バーツ高が進み、物価が●%上昇したバンコクにそれは当てはまりません。バンコクでは外国人が好んで暮らす居住エリアが決まっており、中でも日本人に人気のスクンビットエリアの生活物価は東京とほぼ同様、生活の仕方によってはそれ以上と言えるでしょう。”日本と同等の生活”をしようとすれば、自然と出費がかさみます。
一方で、リゾート地として有名なパタヤや北部チェンマイは物価が安い都市として知られており、一定数の日本人が住んでいます。
ASEANの中では物価が高い
米コンサルティング大手マーサー発表の2021年版「世界生計費調査・都市ランキング」で、首都バンコクは世界209都市中46位、東南アジアではシンガポールに次いで2位にランクインされています。また、アイプライス・グループの平均生活費に関するレポートよれば、東南アジア主要都市の1か月の1人当たり平均生活費(家賃、食費、交通費、光熱費)は、シンガポールの2467USD(約26万9000円)にバンコクの1061USD(約11万5000円)と域内で2番目に生活費が高い都市となっています。
3位以下はフィリピンのマニラ:1046USD(約11万4000円)、インドネシアのジャカルタ:845USD(約9万2000円)、ベトナムのホーチミン:816USD(約8万9000円)、マレーシアのクアラルンプール:789USD(約8万6000円)と続きます。
教育・インター校
子供の教育費が高い
タイに限らず海外移住全般の課題の一つですが、子供の教育費は日本より遥かに高いです。物価が安い国であっても外国人向けの教育コストは決して安く無い場合が往々にしてあります。
タイではバンコクを中心に泰日協会学校(日本人学校)、日本語幼稚園、200校のインターナショナルスクール、日系学習塾など教育インフラは整っています。しかし、インター校付属幼稚園に行かせると年間60〜100万円ほど、日本人学校(私立運営)の場合は小中学校で年間50~80万円ほど、有名インターナショナルスクールだと年間2~300万円もかかります。
医療・保険・社会保障
国際病院の手術費・入院費は高額である
タイの医療事情は東南アジアの他国に比べても比較的充実しています。英語や日本語が通じる一流国際病院があり、ホテル宛らの豪華な施設や最新の医療レベルを誇っています。バンコク病院、サミティベートスクンビット病院、バムルンラード国際病院、BNH病院、などはその筆頭です。
一方で、治療費と入院費は非常に高額として知られており、民間医療保険に入っていなければ一気に蓄えを失い生活が困窮します。最初は元気でも急な病気や予期せぬ交通事故なども可能性は大いにあります。また、誰しも年を取れば病気がちになりロングステイや老後移住にはそれなりのリスクはあります。
セーフティーネットの隙間陥る可能性
タイで暮らせば日本の社会保障制度は基本的に適用されず、タイの公的サービスからも外国人は抜け落ちてしまいます。そうした”セーフティーネットの隙間”に落ちてしまうリスクがあります。日本で海外旅行保険に加入して渡航するのが当然ですが、年齢が上がれば保険料は高額です。タイ現地の民間保険は60~65歳以上は加入できず、審査も厳しい。ですので、病気になったら帰国し日本での生活に戻ると割り切ってて渡航することも大切です。
日本人コミュニティ
バンコクの日本人村は”日本社会の縮図”
年々バンコクの日本人社会は拡大し、同時に日本の様々な問題点がそっくりそのままバンコクで起こるようになるのは想像に難くないです。特に首都バンコクにある日本人村は世界各国に散らばる日本人コミュニティーでは大きく緊密な人間関係が特徴です。日本人同士の助け合いがある一方で、その密な関係性が負担になり、人によっては日本以上にストレスを抱えることになるケースもあります。
実は、移住してきた日本人のうちタイで自殺する人が毎年数人はいるのも事実です。また、無礼を働けば悪い噂はやTwitterやFacebookで一気に広まっていく。表では仲よくしていても、裏では足を引っ張ろうという人も多い。現地日本人が同じ日本人を相手に詐欺を行う悲しいケースもあります。
チェンマイは孤独死が多い老人社会
同じ日本人コミュニティでも、北部の古都チェンマイは事情が異なります。物価が安いのでロングステイビザで悠々自適に過ごす年金暮らしの高齢者が多く、そのコミュニティ規模が小さいはん、人間関係で問題が生じると生き辛くなります。また、滞在の長期化で高齢化が進行し、近年は孤独死が増加が問題視されています。年齢層が高くなると、互助組織としての機能が働きにくくなり、病気や貧困に直面する人が急増しており、毎年20~30人の日本人高齢者が孤独に亡くなっています。
露骨な階級社会
タイは世界有数の格差社会であり超階級社会
タイは貧富の差が大きく、それが目に見えるカタチで顕在化しています。お金や地位がある上級国民である富裕層へは法的な措置が適切に取られないことが多いです。無免許で高級車に乗って猛スピードで道路を走っても警察に止めらることは殆ど無いでしょう。資金があれば、外国人であっても日本では考えなれないようなVIPライフを送ることが可能です。
一方で、コロナ禍における医療崩壊が起こっている2021年現在は公立・民間問わず全病院のコロナ病棟とICUは満床であり、一部の高級病院では富裕層が数百円単位の予約金を払って入札合戦が起こっています。このように有事には有力者とのコネクションやある程度資金力がないと適切な医療サービスにアクセスできない事態も起こり得ます。
日本人コミュニティの中の格差・差別
当然ながら日本人コミュニティの中でも格差があります。一般的なタイ現地採用は月5万THB(約17万5,000円)。一方で、同じ在住日本人でも、駐在員ははるかにリッチな暮らしをしています。高級マンションに住み、企業によっては運転手つきの社用車も用意してくれる。そして当たり前ですが給与は日本基準、加えて手厚い海外赴任手当てが加算され、駐在している間にひと財産つくる人も多いのです。昨今、急増している中小企業の場合は高待遇でもないのですが、現地採用よりは遥かに良いです。
そして、給与格差以上に駐在員が現地採用を見下すカルチャーも一部あり、タイ現地採用はこのような現実に直面する可能性が高いです。
事故・治安
交通事故リスクが高い
タイの年間交通事故死率は日本の10倍以上にも上り、交通事故は重大な社会問題です。タイの交通事故による死亡率は人口10万人あたり 32.7人と世界で9番目に高いとされています。タクシー、市バスなどの交通サービスの担い手も運転が非常に荒く危険です。よって駐在員の運転を禁止する会社が殆どで、日本人向けのハイヤーサービス会社が充実しています。
治安は場所次第だが比較的良好だった
観光立国タイは外国人誘致を進めており、外国人観光客や在住者が行き交うようなエリアの治安は比較的良いと言えます。日本人が犯罪に巻き込まれるケースは人ごみや電車内でバックを切られ財布を盗まれるスリや置き引き、ひったくりなどの盗難被害です。しかしながら、コロナの封じ込めに失敗し失業者を大量に出した現在のバンコクの治安は徐々に悪化しています。
タイ移住方法・条件
海外移住というのは、まず当該国にて合法的に定住可能なビザ取得することから始まります。タイにおいては、現地の方と結婚して配偶者ビザを持っている人や、大学や語学学校に通う留学ビザの人、老後のロングステイビザの人もいますが、大多数はやはり駐在員、現地採用、経営者として会社を通してビジネスビザとワークパミット(労働許可証)を取得しています。
また、近年は個人投資家やプログラマーなど働く場所を選ばないノマドワーカーを中心にタイランドエリートの人気が高まっています。
- ビジネスビザ(Non Immigrant B)
- 留学ビザ(Non Immigrant ED)
- リタイヤメントビザ (Non Immigrant O)
- ロングステイビザ(Non Immigrant O-A)
- 結婚・配偶者ビザ(Non Immigrant O)
- タイランドエリート
- 永住権(Permanet Residency)