最終更新日 2021年3月31日 by タイランドピックス編集局
タイの法人設立・法人登記について解説します。
タイでは、経済特区や外資優遇制度、更には、外資出資比率、業界によって会社形態が異なってきます。そのため、法人設立・法人登記にあたっては、登記代行企業に依頼することが一般的です。
もちろん、タイでも支店や駐在員事務所の設立が可能です。2017年には、タイで駐在員事務所の手続きが簡略化されたため、今後増える可能性があります。支店設立は、銀行をはじめとした金融業が多く、進出可能な業種は限られています。
タイの3つの会社形態
タイ現地法人
タイでもっともポピュラーな進出形態が現地法人です。現地法人は、非公開会社と公開会社で分かれています。
非公開会社は、タイに進出する日本企業が採用する形態です。株式の譲渡や資金調達に制限がかけられています。一方で、公開会社は、上場を目指す企業が採用する形態であり、株式や資金調達について無制限です。
また、最近では、タイ投資委員会(BOI:Board of Investment)による投資奨励政策や外資規制の緩和、工業団地への進出による優遇制度により、日本企業をはじめ、外資系企業の進出が容易になっています。
タイの支店は、現地法人と同様、販売や営業といった営利活動が可能ですが、外資規制により銀行をはじめとした金融機関の設立が多く、それ以外は設立が難しいとされています。しかし、プロジェクトによる一時的なジョイントベンチャーの設立は認められており、これも支店の一形態として数えられます。
駐在員事務所
タイでの駐在員事務所は、販売や営業といった営利活動はできず、基本的には現地の情報収集や本社との連絡を行う非営利の形態です。2017年にタイ政府により、駐在員事務所設立の手続きが大幅に緩和され、設立が容易になりました。
地域統括事務所・地域統括会社(IHQ)
地域統括事務所、地域統括会社(IHQ)は、海外に多くの子会社を保有している企業が、ヨーロッパやアジアなど、地域ごとを統括するための会社形態です。
日本企業にとっては、タイを輸出拠点として、子会社や工場を設立するケースが多くあります。そのため、タイに地域統括会社を設立することは、東南アジアの製造拠点としても期待することができます。また、タイに地域統括会社を設立することで、企業集団内での税率軽減や為替リスクの軽減など、金銭の負担を軽減することができます。
法人設立・法人登記の手続きの流れ
地法人設立の基本的な手続きは以下の4ステップです。
1.会社名の予約
会社名の予約は、設立する法人の発起人が行います。事前に類似の商号・会社名があるかを確認します。その後、商務省事業開発局やバンコク登記局等の管轄当局に予約申請を行います。申請から許可まで2~3日かかります。
2.基本定款の登記
基本定款の登記では、3人以上の名前を定款に署名することで現地法人を設立できます。投棄料は500バーツ(約1,700円)ですが、2020年12月31日までに現地法人を設立する場合、インターネットでは350バーツ(約1,200円)、経済特区内に設立する場合は250バーツ(約850円)になります。
基本定款には、以下を盛り込む必要があります。
- 会社名
- 資本金、発行株式数、1株あたりの額面額
- 設立目的
- 発起人の情報(氏名、住所、職業等)
- 現地法人の所在県 ・取締役の責任
その後、株式の引き受けを行います。
3.設立総会の開催
引き受けが完了した後は、設立総会を開催し、以下をを検討する必要があります。
- 株主総会、取締役会の規定(付属定款)の採択
- 発起人の設立準備の承認
- 取締役の選任と権限、監査人(タイ人公認会計士)の決定
- 株式引受人の情報や引き受け株式数等の承認
- 株式対価の支払い
4.会社登記
その後は、会社登記を行い、登記局に以下を提出します。
- 3人以上の株主の情報(氏名、住所、職業等)
- (代表)取締役の氏名、住所、職業
- 代表取締役のサイン権と署名
- 本社と支社の住所
- 付属定款
- 初回の資本金払込金額
登記料は、5,000バーツ(約17,000円)ですが、2020年12月31日までに登記を行う場合、ネットでは、3,500バーツ(約12,000円)、経済特区内では、2,500バーツ(約8,500円)となります。また、500万バーツ(約1,700万円)以上の資本金をもつ会社は、別途提出の書類があります。
タイ現地法人として会社を設立する場合、法的に最低資本金の制限はありませんが、最低でも100万バーツ(約330万円)に設定する場合が多いです。また、外資法人としてタイに支店を設立する場合は最低資本金として300万バーツ必要です。タイでは日本と異なり会社設立時に資本金額を必ずしも全額証明する必要はありません。
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